実家の相続でやってはいけないこと

実家の相続

実家の相続は、大多数の人にとって初めての経験です。

わからないことだらけで途方に暮れてしまうのも無理はないでしょう。

わからないからといって、なんとなくで実家を相続してしまうと

相続人が大きな損をすることになりかねないのでご注意ください。

実家の相続で最もやってはいけないことは

「実家の活用方法を決めずに相続すること」です。

活用方法を決めずに相続してしまうと、

結果的に実家を空き家として放置することになりかねます。

空き家の管理を怠ると、行政から所有者に対して管理責任を問われます。

所有者に課される管理責任は決して軽くありません。

 

やってはいけない実家の相続

1、実家の活用方法を決めずに相続

活用方法を決めずに相続すると、結果的に実家を空き家として放置してしまいかねません。

空き家として放置すると、固定資産税や建物のメンテナンス費用など

コストばかりがかかる「負の財産」となります。

 

実家を空き家として放置するリスクは下記になります。

  • ・空き家の管理を怠った場合、行政から50万円相当の罰金を課されます。
  •  
  • ・行政から「特定空き家」に指定された場合、固定資産税が6倍になります。
  •  
  • ・放置した空き家が破損・倒壊して第三者にケガや死亡をさせた場合、多額の損害賠償を請求されます。

 

空き家の管理責任は登記簿上の所有者に課されます。

 

2、他の相続人と共有名義で実家を相続

共有名義とは、1つの不動産に対して複数人の所有者がいる状態です。

共有名義の不動産を売却や貸し出しする際には、他の共有者の同意が必要になります。

そのため、共有で実家を相続してしまうと、実家の活用について

他の共有者と意見が食い違い、トラブルに発展するおそれがあります。

相続は、被相続人が残した遺言書の内容に沿って行われるのが原則ですが、

もし、遺言書がない、遺言書に納得できない相続人がいる場合は、

相続人全員でよく話し合い、

実家の名義人を1人に決めたうえで相続登記を行いましょう。

遺産文分割協議が億劫だからと言って怠り、

法定相続分通りに、共有名義で実家を相続すると、

トラブルの原因になりかねます。

 

付け加えますと、被相続人の配偶者には「配偶者居住権」という権利があります。

実家の名義人にならずとも、引き続き実家に住むことがでる権利です。

ですので、配偶者が実家に住みたいからといって、

母と子の共有名義にする必要はありません。

実家の名義人は子1人に絞り、配偶者は配偶者居住権を行使して実家に住み続ければよいのです。

なお、配偶者居住権の行使には、配偶者居住権の設定登記を行う必要があります。

 

3、相続した実家を放置し続ける

相続した実家を放置し続ければ、固定資産税や建物のメンテナンス費用が継続的に発生し、

所有者にとって負の財産となってしまいます。

また、空き家となった実家の管理義務は全て所有者に課されるため、

管理を怠れば所有者は行政から罰則を課されてしまいます。

その他にも、実家を空き家として放置し続ければ、

空き家が地域の景観を乱したり犯罪現場に使われたりと、

近隣住民に迷惑をかけるリスクもあります。

そうなれば、所有者は近隣住民からのクレームや多額の損害賠償請求の対象となってしまう

可能性もありますので、相続後に実家を放置し続けてはいけません。

 

4、相続した実家の家屋を無計画に解体

建物の解体にはおよそ200万円前後の高額な費用がかかります。

また、建物を解体すると、土地の固定資産税が翌年から

6倍に跳ね上がってしまいます。

人が住むための土地は「住宅用地の特例」の適用によって、

固定資産税が1/6にされていますが、建物が建っていない土地は

「住宅用」として認められません。

その結果、更地の固定資産税は住宅用地の特例の適用外となり、

6倍になってしまいます。

もし「建物を解体してから売り出したい」と考えている、

もしくは不動産会社の担当者にそうするべきだと言われたとしても、

一度踏み止まって考え直しましょう。

 

5、相続後すぐに実家を売却

相続税対策として、「小規模宅地の特例」があります。

小規模宅地の特例とは、

土地の相続税を算出する際、土地の評価額を一定の割合減額することで、

相続人に課される相続税の負担(土地評価額最大80%減)が軽くなる特例です。

小規模宅地の特例の適用には、

「相続開始時から相続税申告期限(相続発生を知った翌日から10カ月以内)まで

相続した不動産を保有していること」という条件があります。

土地の評価額が8割減されるため、相続税の負担は大幅に軽くなります。

ただ、相続税の負担を減らす特例は小規模宅地の特例だけではありません。

他の特例を適用させるためには、小規模宅地の特例とは反対に、

相続開始から早めに売らなければならないケースもあります。

どの特例を適用させれば最も税負担を減らせるかは

1人ひとりの相続の状況によって異なるため、

会計士や司法書士に個別で相談してください。

 

 

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